人工言語学の学問体系について
(執筆中です)
人工言語学の学問体系について、私 Xirdim が勝手に色々書いているものです。どこかで採用されているとかではないのでご注意ください。
自然言語のみを扱う従来の言語学を「自然言語学」とし
- etc.
具体的な人工言語の制作・学習(・発信)を指す。
新しい辞書形式の案
- 1 前書き
- 2 概要
- 3 "ALDiF-D"の構造
- 4 "ALDiF-E"の構造
まず、僕がなぜこういう風に新しい辞書形式を考えるに至ったかを説明しよう。このウィキにいる人ならすぐにわかるであろうがOTM-JSON形式にちょっとした不便さを感じたからだ。ただ、OTM-JSON形式が劣っているという意味ではないことは理解してほしい。少なくともPDIC-CSV形式よりは辞書データを作るのに適している形式であるためだ。OTM-JSON形式は百科事典の事も考慮して作られたのである事は薄々だが気が付いていた。ただ、OTM-JSON形式は便利な分少々踏み込みが浅いと感じている。問題点を纏めると以下になるだろう。
- 発音を充てる場所が用意されていない。ZpDICはこれの対処を(content)の場所に発音を表す項目を入れることで代用している。
- 例文は別の所で補完しておいた方が良いと思われる。(たった一個の単語だけで出来ているとは限らないから)
- ニュアンスの違いを説明する場所が別にほしい。(関連語の所に説明が出来たならこんな問題はなかったんだけど……)
- せっかく作ったイラストや絵、音声などを挿入したいのに入れにくい(簡易HTML形式に対応できれば解決だな)
- 見出し語と関連語って関係があるような気がする。一つに纏められないかな?
とあげられるだけ問題をあげてみた。という事で自分の作りたい辞書用に新しく作る事にした。
まず名前についてだが、かつて作ろうとした辞書制作ソフト"Aliory Language Maker" から名前を取り"Aliory Language Dictionary Format"縮めて"ALDiF"(アルディフ)と名づけることにした。またアルディフは二つの種類があり其々、"ALDiF-D" と "ALD…
覚え書き(随時更新)
印象語義とは語彙意味論の概念といえる。自然言語研究でいえばJost Trierが1930年代に紹介した意味場理論に対応する。意味場理論とは、語義を互いに隣接する「意味場」に解体して把握するものである。印象語義理論の手法は、基礎言語の語義を語彙項目間の相互関係に還元し、それを人工的に再合成して新語を生産するという造語アプローチであるといえよう。語彙項目間の相対的関係(類似・近接、反義、含意等)に基づく分析-総合にこそ印象語義の真価があり、それによって自然言語における語彙項目間の関係性を(少なくともある一面において)再現することが可能になる。
したがって、印象語義理論の手法によって生産された語彙リストは、対応する意味論的地図(semantic map)と使用した基礎言語の提示を伴って初めて完成するものと考える。
コンセプトについて
- 1 コンセプト理論 : コンセプトとは何ぞや?
- 2 コンセプトと語義の違い
- 3 コンセプトの有用性
- 4 コンセプトを何処で使うのか。
- 5 コンセプトの種類
コンセプトとは単語の元になる意味の性質や特徴を指す詞で、これらから様々な意味や用法が生れる。そして、その中に比喩的な表現が生れる種があると自分は思っている。関係のある表現や派生した表現などを含めて考えた際に共通して残り続けた意味がその語のコンセプトだといっていい。
コンセプトにあたるようなものをいくつか列挙しよう。
コンセプトは語義に似た意味を持っているが、性質はかなり違っているように思える。語義で表されるのはその語の使用範囲と適応範囲でそこから派生した表現や関係のある表現は含まれない簡単に言えば「語そのものの意味」である。コンセプトも「語そのものの意味」という点では間違っていないがコンセプトではその意味が持つ性質や特徴などを中心としてみている。つまりは語が持つ意味の印象をコンセプトと呼んでいる。
語そのものにも印象があって上で挙げたコンセプトはその語の基本となる印象を示している。もちろん印象なので人によって違う。ただ万人にも共通した語の印象(コンセプト)というのがある。その印象から生まれるものもまた同じ印象を持っていて意味が似通う。これが「類義語」の正体ではないかと思う。逆に「対義語」は印象が反転しているものを指す。「上位語」、「下位語」はどちらもその印象をより抽象的にしたか具体的にしたかの差であると僕は思う。「関連語」や「派生語」はあるコンセプトがあるコンセプトの中に入り込んだだけという印象しか僕にはない。
より具体的に言ってみよう。例えば「愛する」と「守る」という単語には実は共通の印象(コンセプト)がある。それは「何らかとの良好な関係を持つ」…
数や量を表す概念について
ここでは数や量を表す概念を分類して言語制作に役立てればいいなと思っております。またここでは概念を分類するための目安を研究していきます。
「……現在編集中……」
- 1 数や量を表す概念の種類(草案)
- 1.1 数
- 1.2 量
- 1.3 度
- 1.4 率
僕が知っている限りでは「数、量、度、率」の四種類があります。
- 数とは基本的な概念で具体的な一つの値を指します。例えばリンゴを数える際に「一つ」、「二つ」と数えていきます。この「一つ」、「二つ」が数という事になります。数を表すにはその言語で用いられる進数に一致しているだけの単語と桁ごとの区切りにあたる単語が必要です。
- 量とは、ある値と比較した際に「多い」か「少ない」か「等しい」かを求めるための概念です。例えば昨年と今年の作物の収穫量を比較した際、去年の収穫量を今年の収穫量が上回っていれば「多い」と表し、逆に下回っていた場合は「少ない」と表します。ちなみに収穫量がどちらも同じか差があまりないのであるならば「等しい」と表します。また量は数では表す事が出来ない不可算なものを測るのに用います。量で必要な単語は「多い」や「少ない」や「等しい」にあたる単語を必要とします。
- 度とは基本は量と変わらないが見る場所が違っていて、現在の値と基準となる値との差を表すもので、あるリンゴの個数を基準とした場合その基準に近づけば近づくほど「低い」若しくは「近い」と表し、逆に遠くに離れれば離れるほど「高い」若しくは「遠い」と表します。逆に差がない場合の表現は量と同じ「丁度良い・等しい」か「変化なし」と表します(しかし差がない場合は意味をなさないためこの表現は意味がないともいえる)。度を表すには「低い・近い」と「高い・遠い」にあたる単語が必要です。これが用いられそうなところは量の差が必要になる場面…
『意識と意味と位相空間』より(2)
- 『意識と意味と位相空間』より(1)
- 『意識と意味と位相空間』より(2)
- 『意識と意味と位相空間』より(3)
位相空間においては、任意の2つの部分集合について「くっついている」とか「離れている」とか述べることができます。これは近傍という概念で定式化されます。そして(1)で述べたことを思い出して下さい——「言語空間とは無限次元の位相空間である」。言い換えれば、それぞれの単語は無限次元の位相空間における部分集合だということです。このことについて当書では、以下のような例とともに解説がなされています(20頁)。
次の二つの文を比べてみて下さい。
① 少女は 花を 摘む。
② 少女は 海を 摘む。
②の文は文法的には間違っていませんが意味的にヘンです。ではなぜヘンだと私達は感じるのか? それは私たちの頭の中で『摘む』という言葉の近傍に『花』という言葉はあっても『海』という言葉が存在していないからです。また別の見方からすれば、『花』という言葉の近傍に『摘む』という言葉があっても『海』という言葉の近傍には『摘む』という言葉が存在していないからです。ここで一つ分かることは、『花』と『摘む』とでは“お互いがお互いの近傍”として存在するということです。
自然言語処理に興味のある方ならば、word2vecについてはご存知でしょう。word2vecの扱う空間は内積、ひいては距離を必要とするので純粋な位相空間ではなくなっていますが、実質的には、ちょうどそれと似たようなことを人間もやっているということになります。
さらに、以下のように述べられています(21〜22頁)。
<『花』という言葉の近傍にある言葉>
摘む・咲く・バラ・浜昼顔・昆虫・蜜・綺麗・赤・紫・花びら・茎etc…
<『摘む』という言葉の近傍にあ…
『意識と意味と位相空間』より(1)
- 『意識と意味と位相空間』より(1)
- 『意識と意味と位相空間』より(2)
- 『意識と意味と位相空間』より(3)
佐野愛『意識と意味と位相空間』(ブイツーソリューション 2014年4月10日)という書籍があります。そこでは、位相空間論の知見を援用して、「人間がどのように言語を営んでいるか」や、「真の普遍言語とは何か」、ひいては「人間の意識とは何か」などといった重要なテーマについて、わずか70頁足らずのうちに、示唆に富んだ概説が与えられています。この一連のブログ投稿では、当書を参照しながらも、言語というものについて独自の考察を進めていこうと思っています。そのような理由で、題名は「『…』について」でも「『…』に寄せて」でもなく「『…』より」としました。以降、特に断りなく当書と言った場合、それは『意識と意味と位相空間』を指しています。なお、投稿では位相空間論を扱う部分もあると思いますが、投稿者はあまり位相空間論に明るくありません。至らない点はぜひ指摘していただければと思います。
当書のTOCは以下のとおりです。
- 序章
- 第1章 基礎知識
- 第2章 近傍と意味の正体
- 第3章 無限マジック
- 第4章 意味の結合と自我の正体
- 第5章 言語空間の位相化
- 第6章 仮説
- 第7章 番外編(トポロジカル思考)
一連の投稿では、各章の流れに沿うというよりは、それぞれの論理段落に焦点を絞り、投稿者の述べたいことをとりとめもなく述べていくという形になります。したがって、以降の見出しは章題ではなく、投稿者による論点を意味します。文章内でも適宜引用や注釈を行いますが、ページ番号を併記しますので、当書が手元にある方は実際に参照してみると文脈が掴みやすいかと思います。
ちなみに、一連の投稿では、投稿者がクレリカの作者であるということを前提とした論述…
ニーニ語を作りたい!
- 1 ニーニ語を作りたい!
- 2 ニーニ語の話される文化について
- 3 ニーニ語文法
- 3.1 音韻
- 3.1.1 子音
- 3.1.2 母音
- 3.1 音韻
- 4 統語論(ある程度考えのまとまったところだけ)
- 4.1 名詞句
- 4.1.1 名詞
- 4.1.2 格素
- 4.1.3 所有素
- 4.1 名詞句
人工言語「ニーニ語」を創作したいと考えています。私は言語学について十分な知識を持ちませんが、セレン・アルバザード氏のアルカを知り仮想世界の創造を含む人工言語の創作に興味を持ちました。前途多難なことと思いますが、ニーニ語を文化的背景、歴史的経緯についての造りこまれた設定を含む自然言語に匹敵する精緻な言語に仕上げたいと考えています。
私は現在高校二年生で四月から受験生であり、創作に十分な時間を確保しづらくなることもあると思います。しかし、大学では言語学を学ぼうと考えていますから、進学後には今より深い知識とある程度の時間的な余裕をもって創作に臨むことができると考えています。
ここではニーニ語の大まかな構想について記述したいと思います。
人工言語界において創作された世界には西洋的な雰囲気を持つものが多い気がします。「十二国記」や「獣の奏者」好きの私としては、もっとオリエンタルな雰囲気の作品の誕生が望まれるところです。故に、ニーニ語の話者にはモンゴルや中央アジアで活躍した遊牧民のような民族を考えています。また、学習及び創作を容易ならしめるため、語彙については全くのアプリオリではなく多くを漢語に依存することを考えています。
世界の創作と漢語の使用とを両立するために、ニーニ語の話されているのはかつて中国大陸と交流があった異世界という設定を考えています。現実の中国の歴史書に異世界についての記述がないのは「十二国記」のように現実世界から異世界へ一方的な人の移動があったことにすれば矛盾し…