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人工言語とは、個人または集団によって意識的に作られた言語のことです。様々な理由により、世界中で多様な言語が作られてきました。それらをどのように分類するかについては、国内の人工言語作者のあいだでも種々の議論がありました。

Se分類 編集

人工言語界隈において、セレン・アルバザード氏の説明によるSe分類と呼ばれるものが長らく一般的でした。

  • 国際補助語 (international auxiliary language, auxlang):
かつてのラテン語や英語のような国際語 (共通語) とまではいかないものの、それに準じるような存在を目指した人工言語のこと。
  • 芸術言語 (artistic language, artlang):
小説や漫画や音楽など、何らかのコンテンツの中で使用することを目的とした人工言語のこと。架空言語、創作言語とも。
  • 工学言語 (engineered language, engelang):
哲学や論理性を追求したり、何らかの実験に用いられたり、機械を動かしたりするために作られた人工言語のこと。哲学的言語、論理的言語、実験的言語、コンピュータ言語などの下位区分がある。
  • 哲学的言語 (philosophical language):
理想言語 (ideal language) とほぼ同義で、バベルの塔崩壊以前に存在したアダムの言語や神の言語の再建を目指したもの。
  • 論理的言語 (logical language, loglang):
自然言語にあるような曖昧性や非論理性を排他した論理的な人工言語のこと。文法や文の解釈の曖昧性を排他することを目的に作られた。厳密には、形式論理の表現形式を実装している言語のこと。
  • 実験的言語 (experimental language):
何らかの実験を行うために作られた人工言語のこと。
  • プログラミング言語 (programming language):
機械に作業をさせるための言語。人によってはコンピュータ言語を人工言語から弾くこともある。しかし歴史的には近世の人工言語ブームで活躍していたライプニッツらに端を発する言語なので、人工言語の一種である。
  • アプリオリ/アポステリオリ:
既存の言語から語彙や文法などを流用したものをアポステリオリといい、そうでないオリジナルでゼロから作ったものをアプリオリという。

このように、Se分類は人工言語をそれぞれ単一のカテゴリに分類しようとするものでした。これは、言語を概括して呼称するためには有用でしたが、一方で、複数の性質を合わせもつ言語をうまく分類できなかったり、人工言語作者それぞれで、分類の呼称の意図が大きく異なっていることも往々にしてありました。

Gnoli の三角形 編集

日本の人工言語コミュニティではあまり話題には登りませんが、(歴史的経緯は分かりませんが)Se分類の離散的な分類をややアナログにしたものとして、Gnoli の三角形というものがあります。

Maxwell gnoli.jpg

これは、Se分類でいうところの芸術言語 (artlang)、国際補助語 (auxlang)、工学言語 (engelang) の主要3分類を三角形の頂点に置き、その三角形内を指示することで、その3要素の中間部分でのラベリングを可能にしたものです。たとえば、ある人工言語作者は、自作言語について「70%芸術言語、20%工学言語、10%国際補助語」というように言い、三角形上のある一点を指すことができます。

Gnoli の三角形は、複数の特徴を合わせもつ言語の分類を可能にしてはいますが、目盛りが細かすぎるがゆえに各作者によって数値の基準が異なりすぎ、絶対値による比較が難しいという側面が出てきます(もしあなたが人工言語作者であるなら、Gnoli の三角形上にあなたの言語を置いてみてください)。

モユネ分類編集

そのような流れのなかで、最近あたらしく提案があったのが、もやし氏とおかゆ氏とデネブ氏によるモユネ分類 (草案をデネブ氏が拡張したもの) です。これは、作者の意図する用途や趣旨によって人工言語をタグ付けしようというものです。

  • INT: International Auxiliary; それは万人に使用されることを志向する。
  • ART: Artistic; それは美的楽しみを志向する。
  • EXP: Experimental; それはその言語の仕様がうまく機能するか確かめることを志向する。
  • PHI: Philosophical; それは何らかの主義・世界観・認識論をその言語全体の性向として反映させることを志向する。
  • HYP: Hypothetical; それはその言語を学ぶことで学習者に何らかの影響があるだろうという具体的な仮説を実証することを志向する。
  • NAT: Naturalistic; それは自然言語の複雑性や史実性を模倣することを志向する。
  • REA: Real World; それは現実世界で使用されることを志向する。
  • IMG: Imaginary World; それは想像世界で使用されることを志向する。
  • CIN: Culture Independent; それは文化非依存を志向する。
  • CDE: Culture Dependent; それは文化依存を志向する。
  • GEN: General Purpose; それは汎用性を志向する。
  • SPE: Special Purpose; それは特定の用途を志向する。
  • SON: Sonant; それは主たる形態として音声を使用することを志向する。
  • LIT: Literal; それは主たる形態として書記を使用することを志向する。
  • KIN: Kinesic; それは主たる形態として身体動作を使用することを志向する。
  • SER: Serious; それは何らかの方向性をもって少なからず完成度を高めることを志向する。
  • JOK: Joking; それは何らかの事物についての風刺や冗談としてのものを志向する。
  • ※ PPO: Positive A Posteriori; それは他の言語を意識的に参照することを志向する。
  • ※ NPO: Negative A Posteriori; それは他の言語を参照することを志向しないが、作者自身の文化や言語からの影響を積極的に取り除くことも志向しない。
  • ※ APR: A Priori; それは他の言語を参照しないことを志向する。

たとえば、エスペラントは INT/CDE/GEN/SER/SON/LIT/REA/PPO のように分類されるでしょう。暗号言語やネーミング用言語など細かな目的に特化したものは、きりがないため、一括して SPE に分類され、それ以降は各言語特有の性質として扱います。表音・表意文字なども同様です。屈折語、膠着語といった自然言語の類型なども NAT の下位分類として扱います。
複数の側面をもった言語というものも可能なため、一見相反する分類が両立することがあります。たとえば、冗談としての完成度を高めたいという場合には SER/JOK が立ちますし、文化非依存的な運用と文化依存的な運用の両方を想定する言語の場合には CIN/CDE が立ちます。

※ 2015/7/20、PPO, NPO, APR の3項目についての再考がおかゆ氏とデネブ氏の間で行われました。その結果、これら3つの項目を除し、新たに次の5項目を追加することになりました:

  • PAV: Passive Avoiding; 他言語の流入/流用に対して忌避的であり、それに対して傍観的立場である。
  • AAV: Active Avoiding; 他言語の流入/流用に対して忌避的であり、それに対して介入的立場である。
  • PWL: Passive Welcoming; 他言語の流入/流用に対して歓迎的であり、それに対して傍観的立場である。
  • AWL: Active Welcoming; 他言語の流入/流用に対して歓迎的であり、それに対して介入的立場である。
  • TOL: Tolerant, indifferent; 他言語の流入/流用に対して寛容/無頓着である。

参照 編集

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